歓喜の声を上げながら崩れ落ちたペッパーの身体を抱きしめたトニーは、腰を押し付けると小さく呻き声を上げた。
名残惜しいのか離そうとしない彼女から抜け出ると、ペッパーは切なそうな声を出した。彼女が肩で息をする度に、自分が放ったものが零れ落ちる。手早く後始末をしたトニーは、今だぼんやりとしているペッパーの隣に横になると、自分と彼女の身体を覆うようにブランケットを掛けた。
「トニー…」
甘ったるい声に顔を横に向けると、ペッパーは上目遣いでこちらを見ている。いつものように右腕を伸ばすと、彼女は嬉しそうに胸に飛び込んできた。
行為の前も最中も最高だが、実は事後のこの時間が好きだ。愛する女性を腕枕し、彼女の髪を弄びながらキスをし戯れる…。二人きりの誰も邪魔する者はいないこの時間が…。
正直なところ、今までそう思ったことはなかった。行為が済めばそれで終わりだった。相手は余韻に浸りたいのか、やたらベタベタしてきたが、気に掛けることもせず一服するとそのまま寝入っていた。
だが、ペッパーとは違った。初めて身体を合わせた時から、彼女とはコトが済んだ後もずっと抱き合いキスをし、他愛もない話をしながら余韻に浸りたいと思った。
自らそう思った相手はペッパーが初めてだった。
胸元に顔を摺り寄せるペッパーの背中に指を這わせながら、頭に軽くキスをおとす。
「トニー…あのね…」
甘く舌足らずな口調は、普段のペッパー・ポッツから想像できないものであり、そしてそれは自分しか聞けない特権でもある。
「どうしたんだ、ハニー」
まだほんのりと赤く染まる頬を撫でると、彼女はトニーの首に腕を回した。
「愛してるわ…トニー…」
音を立て顔中にキスの雨を降らせたペッパーは、足をトニーに絡ませた。ますます身体が密着し、触れ合った部分が再び熱を持ち始めた。
そう、この瞬間が好きなのだ。自分が彼女の唯一の男であるという証を感じるこの瞬間が…。そして彼女もまた自分の唯一の女であると刻み付けるこの瞬間が…。
「あぁ、ペッパー。世界一愛してる…」
硬く抱き合いお互いの温もりを感じていると、しばらくして心地よい寝息が聞こえてきた。自分の腕の中で無邪気な顔で眠るペッパーの首に所有の証を刻んだトニーは、朝になればこんな目立つところに付けたと怒られるだろうと思いながら、ゆっくりと目を閉じた。