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084.虜

「また手が止まってるわよ」
そう言ってふわっと笑みを浮かべた赤毛の女性は、軽やかな足取りで近づいてくると、トニーの鼻を摘まんだ。
「見惚れてた。世界絶世の美女に」
そう告げるとペッパー困ったように首を傾げた。
「見惚れてくれるのは嬉しいけど、その書類、早く片づけてね」
彼女が指差した先には、タワーのように積みあがった書類の山。ちっとも減らない書類の山に悪態をついたトニーだが、ペッパーに軽く睨まれると慌てて仕事に戻った。

どうしようもない程、彼女の虜だった。
気が付けば彼女の姿を追っている。以前は気付かなかった何気ない仕草も可愛らしく見える。笑った顔や泣いた顔、それに怒った顔ですら愛おしく、すぐにでもキスしたい衝動に駆られる。いっそのこと、彼女を膝の上に座らせてキスしながら仕事をしたいくらいだ。

「これが恋ってやつなのか…」
40数年生きてきて初めて味わう純愛に、トニーは10代の少年のように心ときめかせた。

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