Where is the shield?

EG後、トニーが生き残った世界。
モーガン役のLexiちゃんが、キャップの盾をソリ代わりにしていた投稿から。

***

ある冬の日。
モーガンが目を覚ますと、外は一面の雪景色だった。
今年もアレをする時がやって来たと、顔を輝かせたモーガンは、ベッドから飛び起きた。そして大急ぎで顔を洗い歯を磨いた彼女は、服を着替えると、部屋を飛び出した。そのままガレージに向かった彼女は、父親の車のトランクの前で立ち止まった。
「F.R.I.D.A.Y.、あけて!」
小さな主人の言葉に従ったF.R.I.D.A.Yは、トランクを開けた。背伸びしてトランクを覗き込んだモーガンだが…。
「あれ?……ない!!」
去年まではあったアレは、トランクから姿を消していた。いや、数ヶ月前まではあった。確か父親が車を変える前までは、自分のうさぎのぬいぐるみと一緒に入っていたはずだ。実を言うと、そのうさぎのぬいぐるみも姿が見えないのだが、『パパの車は爆破に巻き込まれて壊れた。だから新しい車に変えたんだ』と父親は話してくれたから、その時に一緒にいなくなってしまったんだとモーガンは考えていた。だが、アレは『世界一丈夫なもので出来ている』らしいから、爆破なんかで壊れるはずがないのだ。
それなのに、姿が見えないのは、ちゃんと理由があるはずだ。これは父親に直接聞いてみるしかないと考えたモーガンは、キッチンへと向かった。

キッチンへ向かうと、母親は朝食作りの真っ最中、そして父親はテーブルにつき、大欠伸をしながら新聞を読んでいた。
「パパ!おはよ!」
「おはよう、モーガン」
新聞を置いた父親は、左腕を伸ばすと、髪の毛をクシャッと撫でてくれた。
くすぐったそうに笑ったモーガンは父親を見上げた。父親の顔の右側には火傷の痕が残っており、右腕も無くなってしまったのだから、父親は色々大変そうだ。食事をするのも片腕ではまだ慣れないようで、母親がいつも手伝っている。
父親が片腕になってしまったことで、モーガンが何より寂しいのは、以前のように抱き上げてもらえないことだ。だが、父親は約束してくれた。『パパは右腕の代わりになるアイアンマンの腕を作るぞ。それが出来たら、モーガンのことも抱っこできるからな』と。
つい最近まで父親は入院しており、数日前のクリスマスにやっと家に戻ってきたから、アイアンマンの腕が出来るのは、もう少し先だろう。
そこで、腕を伸ばし抱き上げてもらう代わりに自分で父親の膝の上によじ登ると、モーガンはアレの行方について尋ねてみることにした。

「ねぇ、パパ。キャップおじさんのたて、どこにあるの?」
娘の言葉に目をぱちくりさせたトニーは、あぁ…と声を出した。
「あれはな…キャプテンに返した」
「えーーー!」
頬を膨らませ、不服そうに声を上げた娘に、チラリと窓の外を見たトニーは、そういうことかと苦笑した。

キャプテンには『娘がそり遊びに使う前に…』と告げたが、実は毎年遊んでいた。モーガンが幼い頃から毎年遊んでいた。あの盾は非常に滑りがよく、夏は草の上を、冬は雪の上を滑るのに、形も大きさも丁度よかったのだ。それでも流石に毎年毎年使って悪いという気もしたため、同じ大きさと形で作ってみたのだが、素材が違うためか、本物の盾のように良い滑り具合とはならなかったのだ。

ガックリと肩を落としている娘はしょぼくれており、『やっぱり返してくれ』と言いに行こうかと一瞬考えたトニーだが、そんなことは出来るはずもなく、後で普通のそりを買いに行き、ロケットエンジンでも付けて改良するかと一人考えながら、娘の頬にキスをした。

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